大阪国際音楽コンクール OSAKA I.M.C

大阪国際音楽コンクールの関連情報など

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幻となってしまった第13回の雑誌記事

ピアニストのウララ・ササキ氏に執筆いただいた第13回コンクールの記事が、雑誌「レッスンの友」と「ストリング」に掲載される予定でしたが、両誌を発行するレッスンの友社の突然の廃業により、幻となってしまいました。
皆様にぜひともウララ・ササキ氏の記事を読んでいただきたく、この場にて紹介させていただきます。
↓  ↓  ↓
今年も第13回大阪国際音楽コンクールが開催されました。数年前からこのコンクールに
関わり、毎年東京地区本選の審査員を担当してきましたが、今年は各部門の最高位受賞者の中からグランプリを一人選ぶグランドファイナルの審査も依頼されました。
十月八日、朝から風も爽やか、秋晴れの空を見上げながらグランドファイナルの会場である高槻現代劇場に向かいました。会場の控室では審査員の先生方とご挨拶し、グランドファイナルの前に先生方の演奏「Prayers from the world~東日本大震災被災地に想いを馳せて~チャリティーコンサート」で幕を開けました。スイス出身のギニャール氏(琵琶奏者)、1963から93年までカラヤン時代のベルリンフィルコンサートマスターを務めたL.シュピーラー氏(ヴァイオリン)始め、H.パクさん(ピアノ)、矢野正浩氏(フルート)K.チェカフスキー氏(ピアノ)、荒田祐子さん(ソプラノ)、北野裕孝氏(ヴァイオリン)、金澤みなつさん(ピアノ)、S.クロプフィッチュ氏(チェロ)が聴衆に大きな感動を与えてくれました。
チャリティーコンサートの後はいよいよグランドファイナルの始まりです。オーディエンス賞の投票を任されている観客全員に紙と鉛筆が配られ、25人の審査員団もいよいよ入場。それぞれのカテゴリーで1位入賞した16組がグランドファイナルに出場し、一人一人が私たち審査員に大きな印象を残していきました。
ここ数年コンクールというものに関わってきましたが、改めて若い人達の音楽に対する意欲とセンスのレベルアップを感じました。コンクールと言えばどうしてもソロ部門が注目を浴びてしまう傾向にありますが、ソロのレベルの高さは勿論のこと、もっとも注目したのはアンサンブル部門で出場した方々。ピアノ四手、ピアノトリオ、クラリネットクワルテットのレベルの高さには圧倒されました。海外からの参加者も年々増え、前段階のファイナルにはなんと872組が出場しました。
今回、グランプリを受賞したのは、弦楽器部門 Age-Uよりイザイの無伴奏ソナタを演奏したエカテリーナ・フロローヴァさん(ロシア)で、圧倒的なアピール性と安定した表現力で会場を魅了しました。文部科学大臣賞には、ピアノ部門Age-U第一位のミジュン・シンさん、大阪府知事賞にはアンサンブル部門第一位のピアノトリオ岩崎弓乃さん、岩崎弓夏さん、西垣志保さんが選ばれました。
このコンクールでは、グランプリの他、文部科学大臣賞や大阪府と兵庫県知事賞、大阪市・神戸市・高槻市市長賞、ウィーン国立音楽大学からの特別賞、ウィーンやモーツァルテウム、ロードス島の講習会へのスカラシップや国内外でのリサイタルができる賞などの多数の賞があり、出場者にとっては大きなモチベーションとなっています。

式典終了後に、今回私が注目した数名にインタビューをさせていただきました。
まずは、ジャーナリスト賞とレッスンの友賞を受賞した連弾の今村憲梧さんと中嶋師音さん。ゲームやパソコンが普及して、娯楽と誘惑だらけの今の世の中、九州出身の、爽やかな高校生が二人並んでブラームスの音色を奏でる姿に「なかなか面白い!」と思い、今村さんの力強いフレージング感と中嶋さんのハリとツヤがある舞曲のリズム感に魅了された私は、彼らに舞台裏で声を掛けました。
小さい頃音楽教室で同じ先生に習っていたのが二人の出会いのきっかけ。
今村さんはテニスとピアノを同時にやっていましたが、一度ピアノを辞めた後、再びアンサンブルをやりたいという希望が湧き、先生に連弾を薦められました。
中嶋さんは、お母様がピアノをされていたので楽器には自然に触れてきたということです。
この二人には、私以外の審査員からも高い好感度でした。
最後に「将来の夢は?」という質問を二人に投げかけました。今村さんはパイロット、中嶋さんは作曲家。そして普段聴く音楽を尋ねると、Exileとポルノグラフィティーとのことで、インタビュー後、ますます彼らに親近感が湧きました。

グランプリを受賞したエカテリーナ・フロローヴァさんにもお話を伺いました。
エカテリーナさんは四才でヴァイオリンを始め、現在ウィーン国立音楽大学で学びながら演奏活動をしています。
最初の質問は「将来の夢はなんですか?」という将来のビジョンに対するものだったのですが、美しいブロンドヘアの彼女は、凛とした笑顔で「私は夢は見ないのよ。」と答えてくれました。「多分、テレビもコンピュータもなかった頃は世の中の人にとってコンサートに行くのも楽しみの一つだったと思います。前世代の演奏家たちのほうが、ある意味キャリアも積みやすかったのかもしれませんが、この道で生きていくのは安易な決断ではなく、私は常に現実を見ています。そう簡単に煌びやかなキャリアを夢見ることは出来ません。」
そして彼女は力強くこう括りました。「芸術をこの世から無くしてはいけません。大事なのは、音楽への愛を次の世代にまでつなぐこと。それが演奏家の仕事で、私はその使命感のためにヴァイオリンを弾いています。」
次世代の音楽家に強い期待を持てる言葉でした。
最後に、大阪府知事賞を受賞したピアノトリオの岩崎弓乃さん(Vn)、岩崎弓夏さん(Vc)、西垣志保さん(p.)にもお話を聞きました。
ヴァイオリンの弓乃さんとチェロの弓夏さんは姉妹で、西垣さんは弓夏さんの学校のクラスメイト。元々この二人は一緒に弾いていましたが、お姉さんの弓乃さんが小学生の時に「アンサンブルを楽しむ」という企画に全員で参加したのがトリオを組んだきっかけです。私自身、家族でピアノトリオを組んでいることもあり、特に興味深く聴かせていただきましたが、三人の「耳の良さ」は抜群でした。
それぞれが楽譜をきちんと解読していること、自分以外のパートを把握していること、そしてなにより、三台の楽器のバランス感覚がこの年齢で体に染み込んでいること。アンサンブル力を得るためには「音楽耳」と「アンテナ」が備わっていないと一つの音楽を作ることが出来ませんが、彼女たちの高度なテクニックと音楽性は勿論のこと、周りの楽器とのバランス感覚を持っていることに注目しました。
彼女たちにも同じく「将来の夢は?」という質問をしたところ、岩崎姉妹は音楽の道にこのまま進むこと、ピアノの志保さんは幼稚園の先生になりたいというお返事でした。他の楽器と音を重ね合わせて得られる「音楽の楽しさ」を小学校時代から知っている彼女たちが、将来の日本音楽界に新鮮な風をたくさん吹かせてくれることでしょう。その他、たくさんの若者達の“アンサンブル力”を目の前にして、もしかしたら音楽のメッセージ性そのものも変わってきているのかもしれないと感じました。

このコンクールは三つのセクションに分かれていて、セクションⅠがピアノ、声楽、弦楽器、管楽器部門。セクションⅡがアーリーミュージック(古楽器)、二台ピアノ、連弾、デュオ、アンサンブル、民俗楽器部門、コンチェルトオーディション、リサイタルコース部門。セクションⅢがユースとアマチュア部門という括りになっています。
セクションⅠとⅡはさらに年齢別カテゴリーに分かれていていますが、実はこのコンクールのもう一つユニークなところともいえるのがユース部門(4コース)とアマチュア部門(9コース)です。特に年齢の分け方に細かい気配りがされており注目すべき点です。

例えばシルバーコースは70才以上で上限なし、シニアコースは大人になって始めた方が参加出来ます。コンクールとはいえ、人と比較するだけが目標ではなくてもいいのです。大阪国際音楽コンクールは、世界でも数少ないアマチュア部門を持つ国際コンクールで、それが日本国内にあるのは嬉しいことです。

2013年も夏から秋にかけて第14回大阪国際音楽コンクールが国内外で開催されます。自分自身の向上のために、音楽の道を目指す人も、音楽を人生の目標にする人も、奮って参加してみてはいかがでしょうか。どうぞ聴衆の皆さまも、参加者の応援に会場に駆けつけてください。私も審査員として、ぜひお待ちしています。
筆:ウララ・ササキ



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